Insights 2
2025.12.10
当社XPS装置を使った研究が Nature に掲載されました
スタンフォード大学の研究グループ(Y. Cui教授、S.F. Bent教授ら)は、リチウムイオン電池のSEI(Solid-Electrolyte Interface)被膜を“そのままの状態”で観察するための極低温(Cryo)XPS測定手法を開発し、その成果が Nature(2025年10月号)に掲載されました。本研究には当社XPS装置(PHI VersaProbe III)が使用されています。
背景
SEI被膜の化学状態評価にはXPSが広く使われていますが、室温・超高真空下ではSEIが反応・揮発・変質してしまい、従来のXPSでは「真のSEI」を評価できていない可能性がありました。そこで、本研究では、当社XPS装置を用いたCryo-XPSにより、複雑なSEIを“形成直後そのままの状態”で直接観測することに世界で初めて成功しました。
今回の成果とその意義
SEI主要成分の存在量を、より信頼性の高い形で評価可能にし、SEI膜厚を、従来よりも正確に評価可能にした本研究は、SEI解析における“世界標準”を塗り替える成果であり、XPSにもとづくSEIの解釈に再定義を迫る研究として、当社XPS装置の性能と信頼性が、世界最高峰誌 Nature により実証されました。

Cryo-XPSを可能にしたPHI VersaProbe IIIとCryo試料ホルダー
論文タイトル:Cryogenic X-ray Photoelectron Spectroscopy for Battery Interfaces
掲載誌: Nature Vol. 646, 850–855 (2025)
DOI: 10.1038/s41586-025-09618-3


