イベントレポート:第34回 技術講演会 イベントレポート

2017.09.04 Update

イベントレポート:第34回 技術講演会 イベントレポート

技術講演会 2017

6月2日(水)建築会館(東京/田町)にて、技術講演会を開催いたしました。

今回は5名の先生方に講演をご快諾いただき、非常に興味深いお話を伺うことができました。
ご講演を賜りました 日立化成株式会社 中山紀行様、株式会社日産アーク 志智雄之様、
東京大学大学院 佐々木岳彦様、旭硝子株式会社 山本雄一様、
名古屋工業大学大学院 種村眞幸様(以上、講演順)に改めて御礼申し上げます。

それでは、講演会当日の様子をお伝えします。

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ご講演

「接着フィルム製品開発に貢献する
分析技術活用事例のご紹介」

日立化成株式会社 中山紀之様 ご講演

日立化成 株式会社 中山 紀行 様

日立化成株式会社の中山様からは、半導体パッケージで使用される接着フィルムの解析結果をご講演いただきました。

複雑化する半導体デバイスに使用されている各種材料の中で接着フィルムがどのように役立っているか、接着性向上や接着阻害要因、および信頼性向上のメカニズムをどうやって特定しているかを、TOF-SIMS、XPS、EXAFS、AFMなどの分析装置を駆使した評価・解析結果について、非常に分かりやすくご紹介いただきました。

今後の課題としてお話されたサブミクロン領域の有機物の同定・組成解析やバルク中の界面の結合状態解析は、当社も常に追い求めているテーマです。最後に「装置開発を期待しています」という励ましのお言葉も頂戴しました。

「電池を対象とした分析・解析技術のご紹介」

株式会社日産アーク 志智雄幸様 ご講演

株式会社 日産アーク 志智 雄之 様

株式会社日産アークの志智様より「電池を対象とした分析・解析技術のご紹介」のタイトルで、リチウムイオン電池にかかわる様々な分析についてご講演いただきました。

リチウムイオン電池は電気自動車をはじめ、ノートパソコン、スマートフォンなど多くの製品で性能を左右する重要な部品となっています。電池を構成する正極、負極、電解液はそれぞれ重要な役割を担っていますが、それらの性能の評価や劣化の解析に表面分析技術が活用される場面が多くあるそうです。

当社の表面分析装置と最先端の電気自動車のつながりの一端を知ることのできた、大変興味深いお話でした。

 

「固体触媒材料の開発とXPSによる測定と解析」

東京大学大学院 佐々木岳彦様 ご講演

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 佐々木 岳彦 様

東京大学大学院 新領域創成科学研究科の佐々木様からは「固体触媒材料の開発とXPSによる測定と解析」というタイトルで、以下3つのテーマについてご講演いただきました(①水素化脱硫触媒のXPSによる解析、②固定化イオン液体触媒の開発とXPSによる解析、③ アミノ基修飾グラフェンオキサイド触媒)。

はじめに、原油の精製過程における水素化脱硫触媒の役割と性能についてご紹介いただきました。続いて、固定化イオン液体触媒に関して、触媒の再利用過程における元素の化学状態をXPSで詳しく解析した例をご紹介いただきました。金属に配位したハロゲン元素が触媒反応過程で置換される様子をXPSで捕らえられるなど大変興味深い結果でした。

いずれのテーマも、触媒性能評価にXPSが欠かせない評価手段であることを再認識させられる大変有意義なご講演でした。

 

「フッ素樹脂およびガラス表面の精密分析とその活用」

旭硝子株式会社 山本雄一様 ご講演

旭硝子 株式会社 山本 雄一 様

旭硝子株式会社の山本様からは「フッ素系樹脂およびガラス表面の精密分析とその活用」と題してご講演いただきました。

主要事業であるガラスおよびフッ素関連製品の開発において、表面近傍の情報を把握することはとても重要です。有効な分析手法としてXPSが多く用いられますが、深さ方向分析の際にArイオンのスパッタリングを用いると、サンプルにダメージが入ってしまうなどの課題もありました。今回のご講演では、C60イオンでスパッタリングした結果、ダメージやイオンの打ち込みによる影響が大幅に軽減され、精密分析が可能になることを初めて明らかにしたXPS解析例と、フッ素系フィルムとガラス表面における活用例をご紹介いただきました。

また、その他にも、北海道大学との共同研究によるガラス上のパターン形成方法の検討における各種分析例の情報も盛り込まれるなど、大変興味深いご講演でした。

 

「グラフェン成長のその場電子顕微鏡観察:
分析の知見を実応用へ」

名古屋工業大学大学院 種村眞幸様 ご講演

名古屋工業大学大学院 工学研究科 物理工学専攻 種村 眞幸 様

名古屋工業大学大学院の種村様は、ナノ材料の作製・応用を研究されています。今回のご講演では、特にカーボンナノファイバー(CNF)とグラフェンの低温合成法を確立した事例を、TEMでその場観察した様子と共にご紹介いただきました。

Arイオンを金属板とグラファイト箔上に照射することで、金属含有非晶質CNFを作製し、それを通電することで、容易にグラフェンが形成される様子を、TEMの動画も交えて紹介いただきました。

この生成メカニズム解明実験の独創性もさることながら、表面分析担当者が誰でも知っているスパッタコーンの生成現象から逆転の発想でそこへ至るまでの工夫も丁寧にお話しいただき、研究、開発、分析という枠を超え、とても刺激になるご講演でした。

 


 

当社からの発表

分析室より

下記2件の発表を行いました。

  • PHI Quntes 走査型デュアルX線光電子分光分析装置の紹介
  • パラレルイメージングMS/MS
    ~ TOF-SIMSスペクトル解析は新しい時代へ ~

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営業部より

高速分光エリプソメーター PHI QuickSEシリーズの紹介を行いました。


今後も主催イベントを随時開催する予定ですので、その折にはぜひ足をお運びください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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第34回(2017年)技術講演会(当社発表分のみ掲載)