イベントレポート:2018 ユーザーズミーティング

2018.03.28 Update

イベントレポート:2018 ユーザーズミーティング

2018年2月9日(金)ベルサール田町(東京都台東区)にて、ユーザーズミーティングを開催し、本年は4名のユーザー様から非常に興味深いご発表をお聞きすることができました。

ご発表くださった 岐阜県工業技術研究所 大川 香織 様、
株式会社コベルコ科研 早川 敬済 様、株式会社東レリサーチセンター 柴森 孝弘 様、
AGC旭硝子 末原 道教 様(以上、発表順)に、改めて御礼申し上げます。


それでは、当日の様子をお伝えします。

> 当日のプログラムはこちら

2018 ユーザーズミーティング 会場内風景

2018 アルバック・ファイ ユーザーズミーティング 会場風景

 


 

分析講座(XPS, AES, TOF-SIMS, D-SIMS)

午前中は、当社分析室より各手法の分析講座を実施しました。

Room2 Room4
TOF-SIMS

-測定編-
:複雑な形状を有する試料の測定における注意点
:Autoツールを使った自動分析例の紹介

-解析編-
:TOF-DR新機能の紹介

XPS

-測定編-
:試料に応じた最適な測定条件の設定

-解析編-
:XPSスペクトルのフィッティング解析

D-SIMS

デプスプロファイル解析ソフト
SIMetric DRの使い方

*TOF-SIMSのデプスプロファイルでも活用できる内容です。

AES

-測定編-
:イメージレジストレーション機能の上手な使い方

-解析編-
:AESスペクトルのフィッティング解析

 


 

ユーザーご発表

午後のプログラムは、4名のユーザー様にご発表いただきました。

「自己組織化膜による刃物の表面改質技術の開発」

岐阜県工業技術研究所 大川 香織 様 ご発表

岐阜県工業技術研究所 大川 香織 様

公設の試験研究機関である岐阜県工業技術研究所において、依頼試験・機器貸与をはじめとした技術支援や、企業に役立つ技術情報の発信をメインで担当されている大川様より、刃物の表面処理に用いられるフッ素系ポリマーコーティングの表面改質技術の開発についてご発表いただきました。

フッ素系ポリマーコーティングの課題として、薄膜化が困難であることが挙げられます。その課題解決への試みとして、化学結合による強固な有機薄膜の形成を目指し、ホスホン酸誘導体を用いたステンレス表面への自己組織化膜の形成について検証し、GD-OES、XPS、および岐阜県工業技術研究所で開発された刃物の切れ味評価システムを用いた実験の評価結果をご発表いただきました。

フッ素系ポリマーコーティングの表面処理や評価については多くのご参加者が課題とされており、「切削抵抗のさらなる低減」や「皮膜の耐久性評価」に関して、今後の検証と結果に対する期待が高まるご発表でした。

「異なる励起エネルギーを利用した
リチウムイオン二次電池材料のXPS分析」

株式会社コベルコ科研 早川 敬済 様 ご発表

株式会社コベルコ科研 早川 敬済 様

コベルコ科研の早川様からは、異なる励起エネルギーのXPSスペクトルを組み合わせた解析結果をご紹介いただきました。

解析対象はリチウムイオン二次電池材料です。いまや携帯端末から自動車まで多くの工業製品に利用されているリチウムイオン電池ですが、さらなる性能向上のためにXPSによる材料解析が欠かせないようです。ご発表では、Al Kα線、Cr Kα線、放射光による測定深さの違いをうまく使いわけて、電極活物質と表面の生成皮膜を区別した状態の解析結果を報告いただきました。

放射光励起のHAXPESは深い情報の得られる有力な分析法ですが、測定の機会が貴重です。質疑応答時には実験室で使える Cr Kα線源のHAXPESに対する期待が話し合われるなど、ご参加者の関心の高さが伺えるご発表でした。

「TOF-SIMSによる応用解析事例 (MS/MSなど)」

株式会社東レリサーチセンター 柴森 孝弘 様 ご発表

株式会社東レリサーチセンター 柴森 孝弘 様

東レリサーチセンターの柴森様からは、PHI nanoTOF II に搭載した MS/MSオプションを用いた測定事例についてご発表いただきました。

一般に解析が難しいと言われるTOF-SIMSスペクトルですが、MS/MSオプションにより解析が分かりやすくなる期待があります。本発表ではMS/MSオプションを使った事例として、実試料中の未知成分同定、当社装置の特徴を活かしたマッピングの例を紹介いただきました。

今回のご発表では、TOF-SIMSとMS/MSの組み合わせによる新たな可能性への期待を挙げていただくとともに、長年にわたりTOF-SIMSをお使いの東レリサーチセンター様ならではの視点に立ったご意見も伺うことができました。

「 D-SIMSによる酸化物中微量窒素の深さ方向分析」

AGC旭硝子株式会社 末原 道教 様 ご発表

AGC旭硝子 末原 道教 様

AGC旭硝子の末原様には、社内の表面分析ニーズとその中でもD-SIMSを用いた各種材料中の微量窒素の検出下限の検証結果についてご紹介いただきました。

SIMS分析において、窒素原子は二次イオン化率が低いことが知られており、材料によってイオン種の選択が検出下限向上のために重要となります。今回のご発表では、窒素イオンを注入したシリカガラス、TiOおよび Al2O3 において、窒素を検出する上で最適な二次イオン種の検討結果をご紹介いただきました。

AGC旭硝子様ならではの豊富な経験による検証結果や知見をお伺いできる内容であり、非常に興味深く拝聴させていただきました。

 


 

当社からの発表

ユーザーご発表に続いて、分析室より学会報告と題して発表いたしました。それぞれが参加した海外の学会(ECASIA' 17、SIMS XXI)について、当社からの発表内容を中心にお伝えしました。

2018 ユーザーズミーティング 分析室の発表

 

 


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2018 ユーザーズミーティング 分析講座(XPS, AES, TOF-SIMS, D-SIMS)