第31回 アルバック・ファイ技術講演会 開催!

2014.06.22 Update

企業・大学での最先端の応用技術の講演から当社の開発動向の紹介まで幅広く討論。

第31回 アルバック・ファイ技術講演会 開催!

2014年6月4日、東京・建築会館で第31回アルバック・ファイ技術講演会を開催いたしました。講演会では、コニカミノルタ株式会社の岩丸氏、三菱マテリアル株式会社の梯氏、両氏よる実践的な表面分析の応用技術について、そして、山梨大学大学院の二宮氏より真空型帯電液滴ビームの基礎と応用について、最後に、韓国の忠北大学校のKang氏より主に電子デバイス向けの応用について、それぞれご講演いただきました。満員となった会場では、多くの聴講者が熱心にメモを取りながら講演に聞き入り、積極的な質疑応答も交わされました。表面分析技術に高い関心を持つ方々にとって貴重な知見を得るよい機会となったと自負しています。

午前中は、開会の挨拶を弊社代表取締役 山本公が行った後、弊社技術部の渡邉から最新の開発動向について、弊社市場開発部の宮山から最新のアプリケーションに関して、主に会場に展示しているポスター内容の紹介を行いました。

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新たな装置開発を主体に飛躍し続けるアルバック・ファイ

「アルバック・ファイの最新の開発動向」

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アルバック・ファイ株式会社 技術部 部長
渡邊 勝己

「表面分析を取り巻く環境は、大きく変化しています。生体や電池、薬剤などの分析対象の多様化によって高い専門性と高い生産性が求められ、かつ独創的な測定手法と先進的なハイエンド装置が求められています。他方、装置のコモディティ化と装置の非専任化が静かに進行しています。我々は、それらに対応すべく、日夜開発を続けています」と挨拶した渡邉は、HXPS(硬X線光電子分光分析装置)、静電半球型アナライザ搭載オージェ電子分光装置(PHI 4800)、TOF-SIMSの新型液体金属イオン銃および新型セシウム銃(nanoTOF II)の3つの新たな装置の開発動向について紹介しました。

繰り返しのダメージの影響を改善・低減させるには

「繰り返し性に影響を与えるダメージについて」

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コニカミノルタ株式会社 開発統括本部
岩丸 俊一 氏

コニカミノルタの岩丸氏からは、測定を繰り返した際にダメージの影響でデータの定量性が損なわれてしまう課題についての取り組みをご発表いただきました。
「表面分析を行う上で、ダメージなどの影響で断定的に判断できないことがあります。しかし、測定条件を変えたり、装置のオプションを活用したりすることで繰り返しに影響を与えるダメージを改善させる可能性は大いにあります。試行錯誤の中で、結果的に開発加速や生産安定化に貢献できるデータの提供につながることもあります」と話す岩丸氏は、測定結果をそのまま鵜呑みにすることなく、オプション(試料冷却)の活用や測定結果の地道な検討の必要性を強調されました。

材料・プロセス開発における表面分析の活用事例を学ぶ

「界面近傍の分析、及びその材料・プロセス開発への活用」

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三菱マテリアル株式会社 中央研究所
梯 伸一郎 氏 

続いて登壇いただいた梯氏からは、三菱マテリアルでの分析事例の紹介をいただきました。さまざまな材料を扱っている三菱グループにおいて、表面分析を行うことは、グループ各社の新しい機能を持った材料の創出に寄与し、グループのシナジー効果を加速させる手伝いができると梯氏は説明します。

「新材料創出においては、ただ単に組成を分析してデータを出すだけではなく、何らかの材料特性のメカニズムが隠されていないか、何らかの関連付けがないか、などの原理原則につながる現象解明を行っていくことが重要だと認識しています。このような“見える化”を行うことで、無駄な製造条件を排除し、生産性を向上させることが重要です。」とご講演いただきました。

新たな表面分析技術として期待される真空型帯電液滴ビーム銃

「真空型帯電液滴ビーム銃の開発と展望」

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山梨大学大学院 医学工学総合研究部
二宮 啓 氏

山梨大学では、平岡賢三教授によって帯電液滴ビーム銃の研究を2005年頃から行っており、3年前からアルバック・ファイと共同で実用化に向けた研究を行っています」と話す二宮氏からは、真空帯電液滴ビーム銃の開発と研究についてご紹介いただきました。

真空型帯電液滴ビームをXPSSIMSのスパッタリング用イオン銃としての利用を前提に、ビームの大電流化と安定性の確保に邁進されていることをご説明されました。さらに帯電液滴ビームの最大の関心として、試料損傷を最小限にして無機・有機物の区別なく、スパッタリングできる可能性・展望についても議論されたことは、今後に向けて大いに期待される講演であったことが、会場からの活発な質問からも伺えました。

XPS,REELS,UPS,Ar-GCIBによる酸化物薄膜の評価

「Electron Spectroscopy for Oxide Thin Film and Application of Ar GCIB to Surface Analysis」

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Chungbuk National University Department of Physics
Hee Jae Kang 教授

「表面分析は、特に半導体においてその特性を評価する手段として非常に有用なツールとなっており、さらに発展する可能性を秘めた手法です」という韓国忠北大学校のKang教授からは、酸化物薄膜のXPSREELS評価を組み合わせた応用例とArGCIBを用いたXPSの分析例に関して、ご講演いただきました。REELSでの各種金属酸化物の定量性への挑戦やハンドギャップの測定、さらに、ArGCIBを用いたUPSの深さ方向分析、深さ方向分析中のザラー回転の有効性(試料損傷が少ない)には、今後の期待が集まりました。

Kang教授の提示された膨大なデータ、測定結果は、まさにXPSの有用性・有効性を示すまさに良い応用例で今後の表面分析のさらなる発展を予感させる力強いご講演でした

(レポート作成:アルバック・ファイ株式会社)